現代では、「健康にいい」とされる食事法がさまざま存在します。
それらを推奨している人たちは、自分たちが信じる食事法のメリットだけを声高に主張して、デメリットには目をつむり、ほかの食事法を批判するなどして、時には食事法論争が起きたりもします。
彼らはただ自らの正義を主張したいだけであり、それによって論争が起こっているのですが、そもそも万人が健康になれる特定の食事法などというものは存在しません。
さまざまある食事法は「特徴が異なることでそれぞれにメリットとデメリットがあるだけ」であり、食事法に善悪をつけること自体が間違っており、どの食事法が「いい」とか「悪い」とかいう議論自体が無意味です。
遺伝的な要因やそれまで食べてきたものによって体質や腸内細菌叢は人ぞれぞれであり、したがって合う食事法もそれぞれに異なります。
また体調や体質も常に変化しており、時と場合によっても合う食事法は変わってきます。
たとえば体調を整えるための食事法(治療食)に「足す食事法」と「引く食事法」があります。
肉食(糖質制限食、先住民食、グルテンフリーなど)は栄養を補充するための「足し算の食事」であり、動物性食品は身体に必要な脂質やたんぱく質のほか、ビタミンやミネラルも豊富に含まれているため、栄養不足で身体が弱っている時に適していますが、土壌汚染や大気汚染、海洋汚染などによる社会毒も一緒に摂取する危険性があります。
反対に菜食(ヴィーガン、玄米菜食、マクロビオティックなど)は排出力が強い「引き算の食事」です。
野菜や豆、玄米には食物繊維やファイトケミカル(植物が紫外線や昆虫などの外敵から自分の身を守るために作られた特有の色素や香り、辛み、ネバネバなどの成分のこと)が豊富に含まれており、身体の抗酸化力やデトックス機能を高めてくれますが、メイン食材である穀類、イモ類、フルーツ類は糖質が多く、糖質過多によって糖尿病や低血糖症などのリスクがあります。
また肉や魚、卵をほとんど食べないため、脂質やたんぱく質などの栄養不足になる可能性があります。
あくまでも「足す食事法」や「引く食事法」は、身体になにか問題(病気)が生じた時に、これまでの食生活を鑑みた上で採用すべき治療食であり、非常に偏った食事法と言うことができます。
したがって、良かれと思って続けていた特定の食事法が、かえって病気を招く原因になってしまうなんてことにも繋がりかねません。
それぞれの食事法は、本来その人の状態によって選択されるべきであり、また体調や体質の変化に合わせて実践されるべきです。
以前のブログ記事『食と健康/「まごわやさしい」と「一物全体(ホールフード)」のすすめ』でも書きましたが、僕自身とくに今は不調や病気がないので、「まごわやさしい」を中心に、「風土・まるごと・季節」を意識しながら何でも食べることを心がけています。
現代では日本にいながら世界中の食べ物を食べることができますが、昔から先住民や野生動物たちはその土地の食べ物によって命をつないできており、遺伝子、体質、腸内細菌叢などもそれらの食べ物に合うように設計されています。
なので、僕自身は日本食を中心に米は玄米、いもや根菜は皮付き、発酵食品の味噌や醤油など、素材全体の栄養をまるごといただくことを意識しています。
また、くぼた整骨院にいらっしゃる患者さんに農家さんも多く、ありがたいことに季節ごとでさまざまな野菜や果物などをいただけたりします。
ご存知のように日本には春夏秋冬があり、昔から日本人はその時期に採れた旬のものを食べてきましたが、旬のものを食べるということにもちゃんとした意味があります。
そういえば、もうすぐ春ですね。
たとえば菜の花、ウド、ふきのとう、たけのこなど、春野菜(野草)には独特の苦味があるものが多いです。
この苦味成分は「植物性アルカロイド」といって、身体に溜まった毒素の解毒・排出を助けてくれます。
冬は寒さを凌ぐため、体内に栄養を溜め込んでいますが、同時に毒素も溜まってしまいます。
冬場に溜め込んだ毒素を解毒・排出するために、積極的に春野菜たちを食べることを意識することは非常に大切なことかと思います。
また、先ほども書いたように、現代は環境汚染の影響や農薬、添加物の問題など、さまざまな社会毒が身の回りに溢れているのが現状であり、避け切るのは難しく、酸化ストレスに晒されやすい状況にありますが、本来の新鮮な野菜や肉、魚などには豊富に水素や電子が含まれています。
したがって、対症療法的ではありますが、今とくに不調がない人は社会毒を極力摂らないようにして産地や栽培方法なども含めて食べるものの質を常に考慮しつつ、デトックスを意識しながら栄養を摂ること、そして「なんでも食べる」ということが「食と健康」を考える上で非常に大切なことかと思います。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院