脂質=油(油脂)の種類とその特徴
②不飽和脂肪酸
前回の『健康な身体を作るうえでかかせない油(油脂・脂質)の重要性〜①動物性油脂(飽和脂肪酸)〜』に続きまして、今回は「油の重要性②不飽和脂肪酸」について書いていこうと思います。
「飽和脂肪酸」は融点が高く、そのため常温では固体で存在するのに対し、「不飽和脂肪酸」は融点が低いため、常温では液体で存在します。
いわゆるサラダ油やオリーブオイル、こめ油などなどの植物性の油のほとんどが不飽和脂肪酸をより多く含んでいます。
「油脂」は「あぶら」の総称として使われますが、固体である飽和脂肪酸は「脂」、液体である不飽和脂肪酸は「油」と書き、それぞれを区別しています。
また不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸にわけられ、それぞれに特徴があります。
一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)は、おもにオリーブオイルやこめ油などに多く含まれており、いっぽう多価不飽和脂肪酸にはさまざまな種類があるのですが、重要なのが「オメガ3系」と「オメガ6系」です。
オメガ6系不飽和脂肪酸は菜種油やごま油、いわゆるサラダ油といわれるような油に多く含まれており、オメガ3系不飽和脂肪酸はえごま油や亜麻仁油、魚油などに多く含まれています。
正反対の役割を持つ「オメガ6」と「オメガ3」
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、ともに多価不飽和脂肪酸ですが、体内に入ると正反対のはたらきをします。
どちらのはたらきもなくてはならないのですが、何より大切なのが摂取するうえでのバランスです。
オメガ3もオメガ6も、コレステロールと並んで細胞膜を作るための大切な構成要素になるのですが、細胞膜になったあとの作用が二者で異なります。
オメガ6
血液凝固作用、血栓促進作用、アレルギー促進作用を持つ。
オメガ3
血管拡張作用、血栓抑制作用、炎症抑制作用、アレルギー抑制作用を持つ。
オメガ6は堅牢な細胞膜を作るのに役立ち、オメガ3は柔軟な細胞膜を作るのに役立ちます。
細胞膜を強固に作らなければ、細菌やウィルスなどが侵入しやすくなってしまいますし、血液を固める作用がなければケガをして出血した時に血が止まらなくなってしまいます。
また炎症を促進するというと、マイナスなイメージが強いように感じるかもしれませんが、外敵から細胞を守るためには必要な作用です。
しかしながらこのような防御機構が過剰になりすぎると、細胞同士の情報伝達や栄養のやりとりがうまくいかなくなってしまいますし、炎症が進んで細胞が傷ついたり血管が詰まったりしてしまいます。
本来であれば外敵への拒否反応としてのアレルギー反応も、行き過ぎれば日常生活にも支障をきたしかねません。
したがってこれらを防ぐためにも細胞膜を柔軟にしたり、血栓ができにくくしたり、あるいは炎症やアレルギーを抑えるといった正反対の作用を持つオメガ3のはたらきも重要になってくるのです。
両者はどちらが良くてどちらが悪いということではなく、両者の拮抗する作用がバランスよくはたらくことが、細胞を健康に保つために何よりも大切です。
しかし現代においてはオメガ6系の油を過剰に摂取している傾向にあり、反対にオメガ3系の油の摂取が慢性的に不足しているため、意識的にオメガ3系の油を摂取することが望まれます。
ただしオメガ6もオメガ3の両者とも「熱に弱い」ため、加熱調理には向いていません。
とくにオメガ6系の油は加熱調理に使用しがちですが、本来はダメです。
いくらいい油であっても、加熱によって酸化した油は身体に毒として作用します。
油は生鮮食品であり、とくに多価不飽和脂肪酸であるオメガ6系とオメガ3系の油はドレッシングとして使ったり、調理後の風味付けや香り付けとして使うか、あるいはティースプーンでそのまま飲むなどの方法で摂取すべきです。
加熱調理に植物性油脂を使う場合は、熱に比較的強いオメガ9系を多く含むオリーブオイルや菜種油、こめ油などを使うのが良いと思います。
また、オメガ3を多く含む油は植物性油脂に多いことは述べましたが、魚の油にもEPAやDHAとしてオメガ3が多く含まれるため、日々の食事で積極的に摂取することが望まれます。
このように、油は僕たちの身体をつくるうえでかかすことのできない大切な栄養素ですが、現代では健康を害する「悪い油」も身の回りに数多く存在しているのが現状です。
製造過程でさまざまな化学物質を添加し抽出された油や酸化した油、トランス脂肪酸など大量生産、大量消費のために作られた油などは身体にとって百害あって一利なしと言っても過言ではありません。
そういった油についても今後少しずつブログに書いていきたいと思います。
健康な身体と心は日々の食生活がもっとも大切です。
日頃から何気なく使っている油にも気を配り、「いい油」を摂ることを心がけて日々の健康につなげていきたいですね。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
参考文献:その「油」を変えなさい! 内海聡 著 2015年 あさ出版