ミネラルは健康維持にかかせない栄養素
ミネラルは糖質、脂質、たんぱく質、ビタミンと並んで5大栄養素の一つとして僕たちの健康にかかすことのできない物質ですが、現代人は糖質と脂質を摂りすぎている半面、ミネラルが慢性的に不足している人が多く、さまざまな病気や不調の原因になっていることがわかっています。
ミネラルは体内では作ることができず、とくに身体の健康維持にかかせない16種類の必須ミネラルは食事やサプリメントから摂取しなければならないため、日ごろから偏った食生活などを送っていると慢性的なミネラル不足に陥ってしまいます。
ミネラル不足で起こる障害や症状
カルシウム
骨や歯の成分となる、精神を安定させる
・小松菜、チンゲン菜、切り干し大根、小魚、ししゃも、大豆類などに多く含まれる
・骨粗しょう症、肩こり、腰痛、神経過敏、発育不良、くる病、不眠症、いらいらなど
マグネシウム
筋肉や心臓を正常に動かす、精神を安定させる
・海藻類全般、米ぬか、魚、かぼちゃ、ゴマ、大豆類などに多く含まれる
・肩こり、腰痛、身体のつり、動悸、不整脈、心筋梗塞、神経過敏など
ナトリウム
ほかのミネラルの吸収を促進、カリウムとともに血圧を調整
暑さや激しい運動による大量の発汗などで起こる脱水症状によりナトリウムが欠乏すると、筋肉からナトリウムが奪われて浸透圧が変化し、筋肉に痛みが生じるほか、嘔吐をともなう食欲不振、極度の疲労などの症状がありますが、通常であれば健康な人で欠乏することはなく、逆に現代ではとくに精製塩(塩化ナトリウム)の摂りすぎによる高血圧や動脈硬化などが懸念されます。
カリウム
体内の余分なナトリウムを排出する
・海藻類、バナナ、メロン、ドライフルーツ、切り干し大根、アボカド、ほうれんそうなどに多く含まれる
・高血圧、易疲労性、むくみ、心疾患、がん、関節炎、便秘、腎不全など
鉄
ヘモグロビンの材料となる、全身に酸素を運搬する
・レバー、赤みのお肉、しじみ、ほうれんそう、小松菜、海藻類、大豆類などに多く含まれる
・鉄欠乏性貧血、易疲労性、頭痛、動悸、食欲不振、舌炎など
亜鉛
味覚を正常に保つ、免疫力を高める
・牡蠣、牛赤身肉、レバー、うなぎ、ホタテ、大豆類などに多く含まれる
・成長障害、貧血、味覚異常、皮膚炎、性機能低下、妊娠異常、傷が治りにくくなるなど
銅
赤血球のヘモグロビン形成を助ける、骨や血管壁を強化する
・レバー、魚介類、豆類、発酵大豆などに多く含まれる
・貧血、白血球減少、毛髪異常、成長障害など
マンガン
エネルギー代謝のための酵素の材料となる、骨の形成にかかわる
・海藻類、緑黄色野菜、豆類、ナッツ類、肉類などに多く含まれる
・骨の発育不良、生殖能力の低下、体重減少、出血異常、糖尿病、脂質代謝異常など
クロム
インシュリンのはたらきを助ける
海藻類、バジル、パセリ、大豆類などに多く含まれる
糖尿病、脂質異常症など
モリブデン
鉄を利用しやすくする、尿酸の代謝にかかわる
大豆類、豆類全般、レバー、魚介類に多く含まれる
発がんの可能性、脳症、貧血、痛風など
ヨウ素
発育を促進し、皮膚や髪、爪を健康にする
海藻類全般、魚介類などに多く含まれる
甲状腺異常、易疲労性など
セレン
身体の酸化を防ぐ、老化を遅らせる
魚介類、肉類、卵などに多く含まれる
心筋症、筋力低下、白内障など
※「塩素」、「コバルト」、「硫黄」は必須ミネラルに含まれていますが、これらのミネラルはさまざまな食べ物に含まれており、単独で欠乏することがなく、厚生労働省が定める摂取基準もないため、記載しておりません。
ちなみに「塩素」は身近な食品である塩に含まれており、「コバルト」はビタミンB12、「硫黄」はアミノ酸などに含まれます。
慢性的なミネラル不足をまねく「リン」の摂りすぎ
「リン」は身体のさまざまな細胞に含まれていて骨や歯を形成したり、たんぱく質や脂質と結合し、細胞膜や核酸の構成要素として体内の細胞に存在するほか、エネルギー産生や細胞のpHバランス調整、浸透圧を保つ働きをするなど、体内でいろいろなはたらきに関わっている必須ミネラルの一つです。
しかし、リンは食品中に多く含まれており、通常は不足することはなく、『牛乳のウソとミネラルの重要性vol.2〜カルシウム・マグネシウム編〜』でも書いたように、むしろ多く摂りすぎるとかえってカルシウムの吸収を阻害し、骨からカルシウムを奪ってしまうなど、注意が必要です。
また、「リン酸塩」などとして食品添加物に多く使用されており、インスタント食品や加工食品を日ごろから食べることが慢性的なミネラル不足を引き起こす原因の一つとなっています。
現代では上記のようなさまざまな食品に「リン酸塩」が使われているのですが、裏面の食品表示を見ても「リン酸塩」と必ずしも表記されているとは限らず、したがって知らず知らずのうちに「リン酸塩」の摂取過多によるミネラル不足が深刻になっているのが現状です。
次回のブログでは、①リン酸塩はどのような表記で食品に使われているのか、②ミネラル不足をまねく現代の食事の問題点などについて書いていこうと思います。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
参考資料 ・Drアミノのホントに効くサプリ データが示す賢い摂り方 大谷勝 監修 2010年 ・中戸川貢の食育セミナーDVD第1回 現代の食事はミネラル不足 2016年