突然ですが、みなさんは子どもの頃に「肘が外れた」ことはありませんか?
いくつの時だったかは今となっては定かではなく、たぶん保育園生くらいだったかと思いますが、僕の場合は1人で畳の上をごろごろ回転していたら肘が外れました。
そして、めっちゃ泣きながら整形外科に連れて行かれました。
肘内障=橈骨輪状靱帯の亜脱臼
子どもの頃に肘が外れたなんてことは、僕自身ずっと忘れかけていましたが、柔道整復師の専門学校時代に肘内障の存在を知ることで、「そういえばそういうことがあったなー」と、僕も肘を外した経験があることを思い出し、またそれが肘内障というものであることがわかりました。
肘関節は上腕骨と2本の前腕骨(橈骨と尺骨)で構成されているわけなんですが、肘内障とは橈骨を押さえている橈骨輪状靱帯が、橈骨から外れかかった状態のことを言います。

橈骨輪状靱帯の亜脱臼=肘内障は子どもにしか起きません。
橈骨頭は大人になるにつれて丸みを帯びるようになり、すると骨幹部と骨頭の境目にくびれができます。
そして、そのくびれの部分に橈骨輪状靭帯が収まるように位置するため、骨の成長とともにくびれができるようになると、橈骨輪状靱帯は骨頭を乗り上げることもなくなり、肘内障は起こらなくなります。
しかし、繰り返す子はけっこう何回も肘を外します。
すると、「何回も肘を外すこの子は大丈夫でしょうか?(どこかおかしいのでしょうか?)」とか、「後遺症とか大丈夫でしょうか?」と、心配されるママさんもいますが全然大丈夫で、成長速度にも個人差があるので一概には言えないかもしれませんが、小学校に上がってしまえば、肘内障を繰り返していたお子さんも、だいたいは抜けなくなりますので、心配しなくて大丈夫です。
肘内障の発生機序
☑️腕を引っ張る
肘内障になるダントツ1位の原因は「腕を引っ張る」ことです。
いろんな場面でお母さんやお父さんに手を引かれながら歩く子どもを見かけますが、そういった場面に遭遇するたびに、肘内障になるかもと内心ちょこっとドキドキします。
職業病かもしれません。
今まで僕が経験した肘内障の大半は、やはり腕を引っ張ったら子どもの肘が外れたというものなので、お父さんお母さんは不意に子どもの手を引っ張らないようにしたほうがよいです。
肘内障になると、お子さんは外れたほうの腕をだらんとさせるか軽く曲げた状態で回内(内側に向ける)させて、痛めていないほうの手で肘付近を押さえたり抱えるといった、特徴的な疼痛緩和肢位(自分で痛みが出ない姿勢にする)をとることが多いです。
そして、痛めているほうの手はいっさい動かそうとしなくなります。
なかには「子どもの肩が外れた!」とか「腕が抜けた!」と言って来院されることもありますが、上記のような負傷機転や子どもさんの様子が見受けられれば肘内障であることが多いです。
しかし、親御さんが見ていない時に痛めることもあるため、その場合などはとくに肘内障なのかもしくは痛いのは肘だけど肘内障ではない他の負傷なのか、あるいは他の箇所を痛めていないかどうかを鑑別する必要があります。
Iくん3才♂
先日、床でごろごろ転がっていたら、肘を痛がって腕をまったく動かさなくなってしまったというIくんが、お母さんに抱っこされながら来院されました。
聞くところによると、Iくんはこれまで3回ほど、肘内障になっているということで、これくらいになるとお母さんも「あーまたか」といった感じでなれた様子でしたが、いっぽうでIくんはと言えばそんなわけにはいきません。
僕が近づいただけで、この世の終わりかってくらいのギャン泣きです。
前述したように、肘内障の発生機序は手を引っ張って起きることが多いですが、僕もそうだったように、今回のIくんのように床をごろごろ転がって肘を外してしまうこともあり、またこれまで肘内障を3回繰り返しているという既往やIくんの様子から、肘内障と判断しさっそく整復に入ります。
整復中、Iくんは痛めているほうの手で僕の手を全力で振り払おうとしたので、「あれ?もう入ってる?」と思ったりもしましたが、やはりその後も患肢を使おうとしないため、「怖くないよー」「大丈夫だよー」と言いつつ、それでIくんがおとなしくなるわけでもなく絶望の極みみたいな叫び声の中で「ポクッ」という整復音とともに整復完了しました。
おそらく、僕のめっちゃ痛い手を触ったクソヤローというレッテルを貼られたであろう僕はそそくさとその場からいなくなり、遠くから様子を伺っていると、ちゃんと両手を使っていることが確認でき、にこやかに痛かったほうの手でハイタッチするほど機嫌も良くなったようで、そのまま無事帰宅となりました。
ということで、肘内障は日常生活の何気ないことで誰でも比較的起こしやすく、小学校に上がるまでの子どもは簡単に肘が外れてしまうということを、とくに小さいお子さんを持つ親御さんたちは知っておいていただければと思います。
そして、子どもの手を急に引かないといったことにもお気をつけいただき、それでも不意に手を引いてしまい、子どもが肘を痛がるようになった、腕を使わなくなったなど、もしかして肘内障かも?という時は、お気軽にいらしてくださいませ。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
