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『足根管症候群と思われる症状に超音波が著効を示した一症例』

足先にカイロを貼らないと歩けない

すもも農家を営むIさん、47歳、女性。

2021年12月10日にぎっくり腰で来院されました。

施術の流れで足を触診すると、足先にカイロが貼ってあるのに気づき、「ん?」と思ったんですよね。

というのも、寒い時期になると足に足用ホッカイロを貼っている人もちらほらいらっしゃるので、とくに珍しいことではないのですが、Iさんは右足だけに貼ってあったんです。

で、理由を聞いてみると、右足だけ足裏から足先にかけて異様に冷たくなり、ホッカイロ貼っていないとすぐにつってしまうとのこと。

農作業中はもちろん、車の運転時も右足だけ足裏から足先がつりっぱなしになって日常生活にもかなりの支障をきたしているそうです。

こんな症状になってからもうかれこれ2年?くらいが経過しており😫、最初は整形外科に2件?行き、そこから総合病院を紹介されて血液検査や腰部のMRI、大腿部及び下腿部のエコー検査など行うも異常なし。

普段の感覚も、「ジンジンする」ようないられない痛み?でなんとも表現しがたいらしく、今まで行った病院でも自分の症状をお医者さんに伝えたいんだけどうまく伝えることができず、最終的に神経内科で身体を温める薬、筋緊張を緩和させる薬、血行をよくする薬などを処方されて内服を続けるも症状に変化なく、「もうどうしたらいいかわかんないんです😫」とほとほと困り果てた様子でした。

とりあえず、カイロが足裏と足先に貼られた靴下を脱いでもらうと、見るからに足が全体的に白く、触ってみてもかなり冷たい状態で少し足裏や足先を押してみるも、「触ってくれるな」といういやーな感じがしてすぐに「つりそう」になり、まともに足に触れない状態でした。

うーん🤔

足裏から足先にかけて著しい血行不良に陥っていることは間違いなさそうです。

が、この日はぎっくり腰の改善が先決なので、一通り施術をして来院時より症状軽快し、「腰の状態が良くなってから右足のケアもしていきましょう」とお伝えし、また後日来院してもらいました。

それから3日後に来院された時には腰の状態もだいぶ改善がみられたため、腰の施術も継続しつつ右足のケアもしていくことに。

前述したとおり、Iさんは腰のMRIや血液検査、大腿部~下腿部のエコー検査等をすでに行い、何ら異常は認められませんでした。

しかし右足だけに、足裏から足先にかけて異常が起こっている。

窪田「かかとは大丈夫?」

Iさん「かかとは変な感じはしなくて、土踏まずあたりから足先がつらいです。」

窪田「足の甲側は?」

Iさん「大丈夫。」

窪田「足の検査は何かしました?」

Iさん「レントゲン撮りました。」

窪田「足首まわりのエコーとかMRIとか。」

Iさん「やってません。」

そうなのかー💡

✅足の甲側とかかと以外、✅土踏まずあたりから足先がつらく、✅なおかつ足まわりの検査はしていない。

上記のことを総合して判断すると、Iさんはもしかすると「足根管症候群」なんじゃないかなーていう結論に達したんですね。

足根管症候群とは…

内くるぶし〜かかとにかけて屈筋支帯というバンドがあり、その下を足の裏にいく神経、動脈、静脈、筋(腱)が通ります。

それらがガングリオンや骨折の後遺症による骨の変形などにより、屈筋支帯下(足根管)で物理的な圧迫や絞扼を強いられることで引き起こされる足底から足先にかけての痛み、冷え感、しびれなどの感覚障害を呈する病態を「足根管症候群」といいます。

↑プロメテウス解剖学アトラス 第2版 2014年より

「足根管症候群かも」ということをIさんにお伝えし、◯当院でケアをしても足根管内部でガングリオンなど何かしらの原因で神経や血管、腱が物理的に圧迫・絞扼されていれば改善はみられないかもしれないこと、◯症状に変化がみられなければ確定診断するためにも足根管部のエコーやMRI等の検査をしたほうがよい旨を説明しました。

2回/1週間の超音波で足根管症候群の症状が緩和

超音波は1秒間に300万回の振動を深部に加えることで、損傷組織の修復やかたくなった組織の柔軟性を高めてくれる物理療法機器です。

ガングリオンや骨の変形が原因で組織の圧迫や絞扼が起き、それにより症状が出ているのだとすれば、超音波など無意味かもしれませんが、屈筋支帯下(足根管内部)の組織が何らかの原因で「癒着」してしまい、それが原因で引き起こされている症状なのであれば、超音波によるミクロマッサージ効果によって改善がみられるのではないかとの考えで、屈筋支帯部〜土踏まず付近にかけて超音波療法を行いました。

超音波を照射すると、見るからに冷えて白くなっていた足裏から足先が赤くなり始め、触っていても温かさを感じられるようになってきたんですよね。

超音波終了後には赤みも温かさも一層強くなり、Iさんも「久々に自分の足になった感じがする!」と喜んでいただけました。

それから2回/1週間程度で超音波を続け、最初のうちは翌日には元に戻るの繰り返しでやはり物理的な圧迫や絞扼があるのかもしれないとも思いましたが、徐々に良い状態が長く続くようになり、初回から約1ヶ月ほどで足裏と足先のホッカイロをまったく貼らなくても痛みが出たりつることもなくなるまでに改善しました。

前述したように、足根管症候群と思われる症状にはさまざまな原因があり、すべてにおいて超音波が効果的というわけではないかもしれません。

が、長年続いた右足の異常によって農作業にも日常生活にも支障が出て本当に苦しまれていたIさんに、超音波が効いてくれてよかったです。

農作業等大変なことと思いますが、引き続き微力ながら健康のお手伝いをさせていただきますので、お身体の不調等ございましたらお気軽にご相談くださいませ。

山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院

参考資料
・標準整形外科 第10版 2008年
・プロメテウス解剖学アトラス 第2版  2014年