父「息子が腰を痛がっていまして、診ていただけますか？今サッカーの練習中で、終わり次第向かいますのでよろしくお願いします。」
サッカー少年のＹくん。
Ｙ君が来た時、僕はほかの患者さんの施術に入っていたので詳しくはわかりませんでしたが、だいぶつらそうだなというのは何となく雰囲気で感じ取れました。
対応した妻が言うには、来院した時点でＹくんつらすぎて泣いていたそうなんです。
立っているのも座っているのもつらいとのことで、問診に入るまでベッドで寝て待ってもらうことに。
ほかの患者さんの施術を終え、Ｙくんに状況を詳しく聞いてみたところ、今日の15時くらいから腰が痛くなったそうです。
また、腰痛以外にもふくらはぎが左右とも痛いとのこと。
時系列を整理しながら症状の経過等記載してみると、
今日起床時は身体の不調や痛みはなし。
11：30頃から自主練習でサッカーをしている時に転倒しかけて踏ん張った記憶があり、それが原因でふくらはぎが痛くなったのかもしれない。
サッカーをしている最中はふくらはぎの痛みはあまり気にならず、練習が終わった後から痛みが出始める。
左右ともふくらはぎは痛むが左のほうが痛みが強い。
自主練習を終え、徐々にふくらはぎの痛みが強くなり整形外科を受診。
この時はまだ腰の痛みはなかったため、腰の診察は受けずに左右のふくらはぎのみ診察を受け、筋肉が炎症を起こしているのだろうと診断され帰宅。
15：00頃から腰の痛みが出始める。
時間とともに腰の痛みも強くなってきたため、17：00からのサッカーのチーム練習には参加せず、見学＆ボール拾い等を行う。
腰痛がひどく、19：00に当院へ電話。
そして、19：30すぎに当院を受診。
問診はベッドに寝たまま行っていたのですが、しばらく横になっていたからか腰の痛みも先ほどよりも楽になってきていたため、一度起き上がってもらって動作の確認を行ったところ、とりあえず前後屈や屈伸などの動作は一通り行うことができるようでしたが、ベッドから起き上がって間もなく徐々に腰痛がまた増悪し、座っているのもつらすぎてまた泣き出してしまい、あまりの苦痛で自らまたベッドに横になってしまいました。
なにかがおかしい。
ふくらはぎの痛みに関しては「踏ん張った」時に痛みが出たわけではないため、明確な原因と言えるかと言えば正直微妙ではあるものの、Ｙ君自身に「踏ん張った」からかもしれないという心当たりがあり、しかしながら腰の痛みに関して言えば心当たりはまったくないのに、つらすぎて座っていられず、ましてや小学校高学年の少年が「泣く」ほどつらい腰痛って明らかに普段から診ている「子どもの腰痛のスタンダード」みたいなものから逸脱しているんですよね。
うーん🤔
これは筋骨格系の捻挫や挫傷といったケガなど、腰の筋肉や関節を痛めたことによる痛みというわけではなさそうです。
腰の痛み、さらに左右のふくらはぎの痛みも含めて、なにか内科的な要因によって引き起こされている痛みの可能性が高いのではないかと思い、体温を測定してみたところ、
38.5℃
もしかすると、風邪などの感染症等によって発熱し、高熱になるにつれていわゆる「節々の痛み」「筋肉の痛み」としてひどい腰痛につながってしまったのかもしれません。
また子どもの場合、熱が上がってくる時に子ども自身が、自分の身体に何か変化が起こっていることを感じて不安になり、泣くことがよくあるそうで、腰が相当痛かったのもあると思いますが、もしかするとそのような理由もあったのかもしれません。
いずれにせよ内科的な要因によるものであることは間違いないため、すぐに病院に行ってもらいました。
目の前の患者さんが今どんな状態にあるのか、痛みや不調はなぜ起こっているのか、何が原因で引き起こされている症状なのかを見極めることができず、判断を見誤ることになれば、患者さんが不利益を被ることになりかねません。
そのようなことは絶対にあってはならないと思います。
問診や聞き取りの重要性を、Yくんの症例を通してあらためて学び直させてもらったような気がします。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
