朝起きたら膝が伸びない
いつもどこかしら痛めると来てくださるOさん、32歳男性。
朝目覚めると急に右膝が伸ばせなくなっていたそうです。
曲げることはできるのですが、伸ばそうとすると膝に激痛が走り、完全に伸ばすことが不可能に😵
いわゆる「膝のロッキング」てやつですね。
お話を伺うと今回が初めてではなく、以前にも何回か同じような現象が起こっており、これまでは自分でなんとか動かしているうちにロッキングが解除されていたようなのですが、今回はどうにもこうにもロッキングしたまま解除できず、久々の来院となりました。
損傷した半月板が原因で起こる膝のロッキング
膝は人体の中でもっとも大きい関節であり、ご存知のように身体を支え、歩行などにも重要な役割を果たしている関節です。
立位や歩行時はもちろん、走る時などは膝関節には相当な負荷がかかります。
その負担を軽減し、関節運動をスムーズに行えるように存在するのが「半月板」です。
(図1)
膝関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)、滑車の役割をする膝蓋骨(膝のお皿)で構成されており、半月板は脛骨側の関節面にあります。
(図2)
半月板は内側と外側にあり、半月板損傷はさまざまな原因で起こり得ますが、しゃがんだ姿勢などの膝関節が曲がった状態かつ体重がかかっている時に回旋(ひねり)力が加わると損傷しやすいです。
そして膝のロッキングとは、なんらかの原因で損傷した半月板の一部が膝の関節に挟み込まれることで起きる現象です。
半月板の断裂形態
(図3)
半月板のロッキングはおもに上記の「縦断裂」で起こります。
このような断裂形態を「バケツ柄状断裂」と呼び、半月板がロッキングを起こす原因としてもっとも頻度が高いです。
繰り返す半月板のロッキングは要注意
窪田「引っかかり感とか挟まってる感ありますか?」
Oさん「外側で挟まってる感じです。」
今回のケースは、どうやら外側の半月板のロッキングで膝が伸びなくなっている様子でした。
半月板のロッキングを解除する際、内側と外側のどちらの半月板が挟み込まれているのかによって手技が違ってくるため、かならず左右どちらなのか確認します。
歩容もかなりびっこを引く感じで相当お辛そうです。
さっそく施術開始。
膝関節の裂隙部を開きながら徐々に膝を伸展していくと….、完全に膝を伸ばすことが可能になりました。
2、3回膝の曲げ伸ばしをしてロッキングがちゃんと解除されたことを確認して施術終了しました。
立ち上がってもらって軽く歩いてもらいます。
窪田「大丈夫ですか?」
Oさん「大丈夫です🙆♂️よかった〜😂」
最初に膝のロッキングが起こったのは高校生の時だったそうです。
Oさんは高校球児でキャッチャーだったそうで、どうやらしゃがみ姿勢での横移動や捻転動作の繰り返しにより外側半月板の損傷が起き、それによるロッキングだと思われます。
社会人になっても何回か軽度なロッキングは起こっており、その都度セルフで解除できていたそうです。
ここ数年は起こることもなく、かなり久しぶりに今回ロッキングが起きたとのことなのですが、ロッキングが繰り返し起こるということは半月板の損傷具合が大きいことも予想されます。
ロッキングが解除されれば膝も伸び、普通に歩けるようになるかもしれませんが、ロッキングの解除はあくまでも応急処置的な施術になります。
繰り返し起こる膝のロッキングでお悩みの方は、医療機関でいちどMRI等の精査を行って膝関節の中の状態を確認することをおすすめします。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
参考資料 ・図1,2 プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版 医学書院 2014年 ・図3 標準整形外科学 第10版 医学書院 2008年