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『山梨県の「外国人労働者家族向け医療傷害保険制度」について考える』

日々の生活のなかで、最近とくに外国人の方と接する機会が増えてきたように思います。

当院にも外国出身の方が一定数いらっしゃいますし、またコンビニや飲食店で接客してくれる店員さんが外国の方だったりということが別に珍しいことではなくなってきました。

また、患者さんとお話していても「うちの会社には外国人がたくさん働いてるよ」という声を数多く聞きます。

介護、製造業、飲食店などなど、業種や業界に関係なく、さまざまな分野で外国人が働いており、令和6年1月26日に出された山梨労働局の『山梨県内の「外国人雇用状況」について』によると、令和5年10月末時点で山梨県内における「外国人労働者を雇用している事業者数」は1900か所で、「外国人労働者数」は11227人だそうです。

国籍別では、

1位 ベトナム 3019人

2位 ブラジル 1796人

3位 中国(香港、マカオ含む)1545人

4位 フィリピン 1451人

5位 インドネシア 557人

6位 ネパール 410人

7位 ミャンマー 406人

8位 ペルー 377人

9位 タイ 291人

10位 韓国 278人

となっています。

そして、外国人雇用事業者数も外国人労働者数も年々増加の一途を辿っているのが現状です。

日々施術をしながら患者さんとお話ししていても、「忙しい」「人が足らない」「求人を出しても人が来ない」といったお話を聞くことがとても多く、今や多くの業種や業界で人手不足が深刻な問題になっており、労働力不足解消のために外国人労働者を雇用する企業が増えるというのは自然なことのように思います。

また、外国人の方が日本で働くためには在留資格が必要なんですが、外国人労働者数が多い上位3資格は、

1位が「身分に基づく在留資格」で4777人(全体の42.5%)、これは永住者、日本人配偶者等、永住者の配偶者等、定住者が該当します。

2位は「専門的・技術的分野の在留資格」で2789人(24.8%)、これには教授、芸術、宗教、報道、高度専門職1号・2号、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能1号・2号が該当します。

3位は「技能実習」で2567人(22.9%)となっています。

そして、日本全体における国別の外国人労働者数はベトナムが最多であり、また前述したように山梨県においてもベトナムがトップなのですが、ベトナム人の多くは「技能実習」であり(45.2%)、次いで「専門的・技術的分野の在留資格」が39.4%となっています。

技能実習制度とは、国際貢献と人材育成として日本の技能、技術、知識を途上国へ移転させ、経済発展を担う人づくりに寄与することを目的に1993年に創設されました。

技能実習制度では最長で5年間滞在することができますが、受け入れ企業側のパワハラや最低賃金を下回る賃金での労働、住環境の不備、人権蹂躙など、さまざまな問題点が指摘され、現行の技能実習制度に代わる新制度として「育成就労制度」の創設が2024年3月15日に閣議決定されました。

技能実習制度ではやむを得ない事情以外は原則不可だった転籍(職場を変えること)が、育成就労制度では本人の意向によって可能になります。

また技能実習制度は「国際貢献と人材育成」という名目でしたが、育成就労制度は「人材育成と人材確保」を目的とした制度であり、国際貢献という文言がなくなりました。

育成就労制度は最長で6年間の滞在が認められ、当初は非専門的分野に位置付けられますが、一定期間の育成を経て、専門的・技術的分野である特定技能1号への移行を想定しています。

特定技能1号へ移行ということは、必然的に特定技能2号を取得する外国人労働者も増えることが予想されます。

ちなみに、特定技能2号を取得して5年経過すると、日本の「永住資格」を申請することが可能になります。

永住資格を得ると労働者本人だけでなく、母国にいる家族も呼び寄せて一緒に日本に住めるようになります。

2023年12月末時点で、特定技能1号 は208425人、特定技能2号は37人とまだ少数でしたが、2024年になってから2号受験者数が増加しており、毎月100〜200名の合格者が出ているそうです。

このペースで増え続けていけば、近い将来の日本は移民大国になっていることが予想されます。

先日、「山梨県で働くベトナム人の母国にいる家族の医療費を山梨県で補助する」というニュースが報道されました。

この見出しだけの情報だと、「なんでそこまで山梨県が面倒見なくちゃいけないんだよ💢」と思ってしまうと思います。

実際の内容は、日本企業で働くベトナム人が東京海上ベトナムの傷害傷病保険に加入する際の負担金を山梨県が一部補助することによって母国にいる家族が実質1割負担で病院を受診できるということです。

(山梨県ホームページより↑)

ちなみに予算は500万円で、7月から受付開始するそうです。

日本は世界的に見ても人口減少が半端なく、とくにここ2、3年は顕著であり、今後ますます労働力不足が大きな問題となることが予想され、もしかしたら外国人労働者の争奪戦みたいな状況になるかもしれないですね。

なので山梨県の今回の政策も、外国人労働者の雇用促進のためには必要なことなのかもしれません。

しかし労働力を外国に依存し続ければ確実に移民が増えます。

外国人が増えることがいいとか悪いとか、差別しているとかではなく、文化の違い、言葉の壁、治安など、さまざまな懸念が生まれることは必至であり、間違いなく今とはまったく異なる社会になっていく思います。

外国人労働者を増やす政策も否定はしないです。

しかしながら日本人が日本にいて暮らしやすい、生きやすい社会、子どもを産みやすい、育てやすい社会を作るための政策をもっと打ち出してくれよと、それが未来の労働力不足解消につながるんじゃないのかよと思います。

政治家のみなさんは裏金とか作ってる場合じゃなくて、外国人のための政策ばっかりじゃなくて、日本人にもっと目を向けてくださいよと思います。

まったくこっちはまた来月から電気もガスも値上がりだよ😤と、最後は愚痴ですが、「山梨県の外国人労働者家族向け医療傷害保険制度」のニュースから、そんなことを考えました。

山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院

参考資料
厚生労働省 山梨労働局
Press Release
山梨労働局発表
令和6年1月26日
『山梨県内の「外国人雇用状況」について(令和5年10月末時点)』