055-234-5455

『日本の伝統食「漬け物」の製造販売が許可制になることについて思うこと』

みなさん「漬け物」はお好きですか?

僕は好きでよく食べます。

とくにぬか漬けが大好きなのですが、ありがたいことに自家製のぬか漬けを持ってきてくださる方がいます。

今年でたしか96歳?になられるFさん。

Fさんは家事全般をすべてこなし、口が達者でボケる気配もなく、まだ当分お迎えはこなさそうだなと思うくらい元気なお人なのですが、Fさんからいただくきゅうりや大根、かぶや人参のぬか漬けをいつもおいしくいただいています。

また、妻はキムチが大好きで、家にキムチのストックがないとそわそわしてしまうと公言するくらい好きらしく、なるほどたしかに顔立ちも含めて、おそらく妻の遠い先祖は韓国の人なんだと思います(僕が言っているのではなく、あくまでも妻が自分で言ってます)。

キムチは別として、ぬか漬けなどの漬け物は日本の伝統食の一つであり、昔から今日に至るまで家庭でも一般的に食されてきた馴染み深い食べ物かと思います。

そんな漬け物ですが、2021年に法改正され、来月の6月から施行される食品衛生法改正によって、漬け物の製造販売が許可制になることに伴い、農家さんや自営業者さんなどの小規模事業者の多くが漬け物の製造販売業から撤退するのではないかということが懸念されています。

漬物はスーパーだけでなく、道の駅や農産物直売所などでもよく見かけますが、こういったところで売られている漬物は、食品メーカーのものだけではなく、その土地の農家さんや個人商店など、小規模で営んでいる方々の漬物が多くあったりします。

そして、令和6年の6月から施行される食品衛生法改正では、営業許可を受けるためには国際的な食品衛生管理手法=HACCP(ハサップ)対応の加工施設設置が義務付けられるのですが、これには莫大な経費がかかるため、すでに廃業を決めた小規模事業者が数多くあるそうです。

これまでは手作りの漬物は都道府県に届け出をすればだれでも製造販売が可能でしたが、食品会社が製造した「白菜の浅漬け」が原因で2012年に北海道札幌市などで169人が罹患し、8人が死亡する集団食中毒が発生し、また2014年に静岡市でも露天で売られていた浅漬け「冷やしきゅうり」によって481人が発症するという食中毒が発生するなどしたため、これらを鑑みて厚生労働省は今回の法改正に踏み切ったということです。

具体的にHACCP対応とはどのようなものかというと、

◯漬物をこれまでのようにトレイに並べて販売できない

 

◯調理場は営業専用(自宅と併用禁止)

 

◯手洗い設備の水道の栓は手でひねるハンドル式は禁止(足踏み式、自動センサー式、肘押し式などへの変更が必要)

 

◯給水設備で地下水等水道水以外を使っている場合は水質検査が必要(不合格なら使えない)

 

◯温度計がついた冷蔵庫が必要

 

◯包装台または包装設備が必要

 

◯床面、内壁は不浸透性で床面に排水溝が必要

 

◯換気施設、照明設備、網戸付きの窓が必要

 

◯トイレにはトイレ専用の手洗い設備が必要

 

◯製造した漬物の販売には食品表示が必要(袋詰めにして名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者の名前等を記載したシールを貼る)

営業許可を受けるためには以上のことを遵守しなければなりません。

たしかに食中毒などを防ぐための衛生管理は大切なことかもしれません。

しかし、漬物といってもさまざまあります。

今回の食品衛生法改正の背景にあったのは、浅漬けが原因の食中毒ということです。

そもそも漬物は保存食として、日本のさまざまな地域で作られてきた発酵食品です。

「発酵食品としての漬物」でこれまでに食中毒などの問題が起きたケースというのはあるのでしょうか?

あったとしても、郷土料理の一つとして昔から食されてきた漬物で頻回に食中毒などの問題が乱発してきたわけではないはずです。

すべてを規制するのではなく、個別に対応すれば済むことだと思いますし、また規制するにしても発酵食品と発酵していない食品とで分けるべきなのではないかと思います。

大手の食品メーカーで作られている漬物には防腐剤や保存料、着色料、人工甘味料、アミノ酸等、たんぱく加水分解物、着色料などなど、多くの添加物が使用されています。

そして、本来は発酵食品としての漬物が、それらの添加物等によって発酵食品まがいのぬか漬けやたくわん、キムチ、あるいは漬け物ではないですが味噌やしょうゆとして売られているのが現状です。

日本は古来から優れた発酵技術を有し、現在においてもさまざまな発酵食品があります。

菌や微生物を欧米は殺す殺菌の文化であり、日本は共生の文化とよく言います。

僕が今回の食品衛生法改正による漬物の製造販売の許可制度を知ったのは、つい最近のことなのですが、これも内海先生の言葉「2025年日本はなくなる」ということを如実に表しているのではないかと思いますし、また昨今の「紅麹問題」も同根なのではないかと思います。

現在の日本は、農家や零細企業、自営業者を潰し、大手企業や外資企業を優遇し、日本の伝統や食文化を破壊し、大量に移民を受け入れて外国人を優遇し、日本人は冷遇され、日本にいながら日本人はより生きにくい世の中になる、というかもうすでになりつつあるように感じます。

そして、与党も野党もそれを結託してやっているようにしか見えません。

そのうち本物の漬物を買うことも食べることもできなくなる日がくるかもしれませんし、あるいは今は当たり前に送っている日々の生活が、近い将来には当たり前ではなくなっているかもしれないなと、漬物の話題で大袈裟な😅と思われる人もいるかもしれませんが、今回の食品衛生法改正による漬物の製造販売許可制のニュースを聞き、そんなことを考えてしまいました。

山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院

参考資料
・一般社団法人日本伝統野菜推進協会 「もう食べられなくなる⁉郷土の味の漬物がピンチ ~食品衛生法改正で製造販売が許可制に~」 

・長周新聞 「手作りの漬物が買えなくなる? 食品衛生法改定で6月から営業許可とHACCP対応が必須に 個人や商店は対応困難」