手首の小指側が痛む「TFCC損傷」とは
ゴルフが趣味のKさん、70代男性。
約一か月前くらい?にゴルフのラウンドを回っている際、スイング時に思いっきりダフってから「左手関節の小指側」に痛みが出現したそうです。
自然に治るだろうと思っていたのですが一向に良くならず、2022年8月8日に来院されました。
初検時、「手首を曲げても伸ばしても痛い」、「捻っても痛い」、「力も入らない」という感じで、日常生活にもかなり支障が出ている様子でした。
とくに朝起床時には手首の小指側の痛みだけではなく、親指の付け根あたりもしびれと痛みも出るなど、手首を構成している骨や関節、筋などのバランスが相当崩れてしまっている状態であることがうかがえました。
手関節の構造
手首(手関節)は大まかにいうと、橈骨と尺骨という2本の前腕骨と、石ころみたいな手根骨8個で構成されています。
そして手関節の小指側には、軟骨(関節円板)と靭帯組織から成る「三角繊維軟骨複合体/triangular fibrocartilage complex=TFCC」という、手関節の負担を軽減するための「クッション」のような組織があります。
実はさまざまなスポーツで、この「TFCC」を痛めてしまうケースが少なくありません。
とくにテニスやバドミントンなどラケットを使う競技や野球やゴルフのスイングなどで痛めることが多く、また転倒するなどで地面に手をついて手関節にねじりの力が加わることで痛めてしまうこともあります。
今回のKさんのケースは、MRIなどの精査を行ってはいないので、実際にTFCC損傷かどうかはわかりませんが、負傷機序や症状からも少なからずTFCC部になんらかの不具合が生じているのは間違いなさそうです。
手関節の痛みにも骨盤矯正がいい
あらためてKさんの手関節や前腕部の状態を診てみると、全体的に腫れっぽい感じやむくみ感があり、手根骨や前腕骨の動きも制限がかかっており、前腕部の筋緊張も認められます。
次に骨盤の状態を確認します。
骨盤?と思われるかもしれませんが、骨盤の状態って身体がいい状態に戻っていくためにもすごく大切なんです。
度々ブログ記事でも書いているように、骨盤矯正を行うことで身体のさまざまな箇所の痛みや不具合が解消されることが多いんです。
それは手関節の痛みに対してもそうなのですが、同じ手関節でもとくに小指側の痛みに骨盤矯正が著効を示すことが多いです。
なんで効くのか?というのは、正直なところ明確には答えられない部分があるのですが、どこかを痛めると交感神経が過敏になって痛みの閾値(痛みが感じられるライン)がガクッと下がることで少しの刺激であっても痛みとして意識に上ってしまっていたのが、骨盤矯正を行うことで交感神経の興奮が鎮まって痛みの閾値もぐーんと上がるため、たとえばさっきと同じ動きをしてみてもその刺激では痛みの閾値を超えなくなることで痛みが和らぐのではないかとも思います。
今回のKさんのケースでも左側骨盤の調整ポイントにかなりの抵抗感を認めました。
さっそく骨盤矯正に入ります。
骨盤を調整しながら左手関節を軽く動かしてもらうと、「痛いけどさっきより痛みがいいような感じがします」とKさん。
そして、「背骨と背骨の関節」、「背骨と肋骨の関節」も骨盤と連動して手関節に影響を与えるため、それらを調整しながら再度Kさんに左手関節の痛みの確認を行っていただくと、「不思議だけど来た時よりだいぶ痛みが違います!」と手関節の動きも明らかに来院当初よりスムーズになっているのがわかりました。
しかしながら骨盤矯正ですべての痛みが取れたわけではなく、手関節自体も痛めていることには変わらないので、手技での調整と超音波療法や電療法も並行して行い、自宅ではファイテンのメタックステープを貼っていただいて1~2日おきに計7回施術を行いました。
8月25日のゴルフになんとか間に合わせたい!とのことで、前日の24日に最終調整してだいぶ痛みも可動域制限等も改善されてはいたものの、完治とまではいかなかったので、本番を迎えてどうかなぁと少々心配しておりましたが、26日に来院されたKさんに昨日の様子を伺ってみると、「全然痛くなくゴルフできました!」とご報告いただき、僕としてもほっと一安心しました。
さらに「ゴルフして手首を動かしたことが良かったのか、朝の強張りも今朝はまったくなく、また力が入りづらくて今まで開けるのに苦労していた牛乳パックが痛める前と同じように今朝は軽く開けられたんです!」とうれしいお言葉をいただけました。
来月は毎週のようにゴルフのご予定がすでに入っているそうです。
これからも末永くゴルフを続けていただけるよう、引き続き微力ながらサポートさせていただきます。
またお身体の痛みや不調などございましたらお気軽にご相談くださいませ。
今後とも宜しくお願いします。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
参考資料
・標準整形外科学 第10版 2008年