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『転写行為と承認欲求〜人は拒絶したいものを転写してしまう〜/内海式精神構造分析法(内海式根本療法)』

内海式精神構造分析法(内海式根本療法)については、内海式精神構造分析法内海式精神構造分析法(内海式根本療法)の記事一覧をお読みいただければと思います。

みなさんは転写行為という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

転写行為は投影行為やコピー行動と言ったりもするのですが、たとえばAという事象に対して、Aと同じかもしくはAと近しい状態を再現することを言います。

転写行為は日常においても非常に多くの場面で垣間見ることができます。

たとえば、当院は親子やご家族で来てくださっている方々がいらっしゃいますが、家族関係などを聞いてみると、親子で同じ職業だったり、父親や母親と似た人を伴侶に選んでいたり、あるいは自分の兄弟数と自分の子供の数、さらには男女比なんかも同じだったりすることがけっこうあったりします。

これは一種の転写行為であり、自覚できる表層意識で選んでいることもあれば、自分ではまったく自覚していない深層心理において無意識的にそうしている場合も非常に多く、精神療法において転写行為を見つけることは問題の原因を探る上で非常に大切な作業となります。

また、たとえば父親がアルコール依存症だった場合、自分は将来絶対にアル中の男は選ばないと思っていても、結婚した相手がギャンブル依存症だったり、あるいは父母が不仲でケンカが絶えず離婚してしまったということを経験して、自分は結婚したら温かい家庭を築くんだと思っていても、やはり家庭円満とはいかず離婚してしまうとか、さらには虐待を受けて育った子供が自分は絶対に虐待しないと思っていても、自分の子供に虐待をしてしまうなどといった話をみなさんも聞いたことはないでしょうか?

転写行為と承認欲求

世間一般では「こうはしたくない」とか「ああはなりたくない」といった感情があれば、それを反面教師にすることで、そうしない、そうならないように行動していくのではないかと考えると思います。

しかし、実際のところはそうは問屋が卸さないのが現状であり、ものごとはそう単純にはいかないことが多いです。

これはさまざまな感情や思いが複雑に絡み合いながら多重層構造になって存在する人間の精神構造の奥底に隠された深層心理が強く影響しており、とくに深層心理に内包された幼少期のトラウマやジレンマが大きく関係しています。

トラウマとジレンマについては『深層心理に埋もれたジレンマとトラウマを考察する/内海式精神構造分析法(内海式根本療法)』をお読みいただければと思います。

トラウマとは過去に負った心の傷であり、トラウマは容易に深層心理に封じられます。

ジレンマとは二律背反した感情のことで、たとえば表向きでは嫌いと思っていても、その裏には「好き」という感情が必ず存在します。

これはどういうことかと言うと、表面的に嫌いということは、嫌いと思う理由があるから嫌いということです。

つまり、「もっとこうしてほしい」、「かまってほしい」、「優しくしてほしい」、「愛してほしい」などといった感情の裏返しとして嫌いという感情になるのであって、したがって嫌いという表向きの感情の裏には満たされない承認欲求が存在します。

そして、幼少期に満たされなかった承認欲求は深層心理に封じられ、大人になってからも無意識的にその影響を受け続けることになり、承認欲求を満たすためにさまざまな転写行為を繰り返します。

たとえば、子供の時からいつもどこに行ってもいじめられてしまう人がいるとします。

いじめる人が悪いというのは当たり前ですが、精神療法ではいじめられる人は自らでいじめられる状態を作っているというふうに捉えます。

昔からいじめられてきた。

いつもいじめられる。

そんな状況であれば、「もういじめられたくない」と、誰もが思うことかと思います。

しかし、「いじめに遭わない」ためには「いじめられたくない状況」を作る必要があり、そのためにはもう一度「いじめられる状況を作り出す必要がある」ということがおわかりいただけるでしょうか?

また、年上の男性ばかりと不倫を繰り返してしまう女性がいるとします。

たしかに中年以上の男性のほうが経済的にもリッチでいい思いができるからという表面的な理由ももちろんあるかとは思いますが、幼少期における父との関係性に問題があり、父親からの愛情を受けてこられなかったというケースも少なくないです。

本当はもっと愛して欲しかったという幼少期に満たされなかった承認欲求を満たすために、年上の男性と不倫をするという代償行為によって過去の父親像を投影し、転写行為を行っているということです。

このように、深層心理に封じられたトラウマとジレンマは周波数の法則によって同じかもしくは似たようなことがらを引き寄せ、転写行為となって現れます。

そして、人は自らでは認識できない深層心理に封じられた、幼少期に満たされなかった承認欲求にもとづいて、見たくないもの、拒絶したいものほど体現してしまいます。

自分ではなぜかわからないけれど、いつも悪い男ばっかりに引っかかってしまう、いつも仕事がうまくいかない、いつも人間関係で悩まされるといった、失敗パターンを繰り返してしまうのは、もしかしたら満たされていない承認欲求を満たすために、無意識的に転写行為を行ってしまっているからかもしれません。

そして、問題を解決するためには転写行為をなぜ行うのかという原因を考えて、それらを自覚・認識した上でブレーキを踏めるようになるということは非常に重要であり、またそれが負のループから抜け出す糸口になりえます。

みなさんもぜひ一度、ご自身のことを思い返してみてください。

もしかしたらたくさんの転写行為をしていることに気がつくかもしれません。

山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院

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