行動と結果は深層心理の体現である
人には自覚できる表層意識と自分ではけっして自覚したり認識することのできない深層心理が存在し、深層心理のほうが僕たちの行動に大きな影響を与えているということは、このブログでもこれまで何度も書いてきたかと思います。
表層心理や深層心理については、内海式精神構造分析法や内海式精神構造分析法の記事一覧をお読みいただけたらと思います。
深層心理は、よく氷山の一角に例えられ、海面から出ている部分は表層心理、海中にあって見えない部分が深層心理であり、深層心理のほうが多重層構造を成しており、さまざまな感情が複雑に絡み合いながら存在しています。
そして幼少期、とくに0〜5才までの経験が深層心理の形成に大きく関係しており、なかでもジレンマといった感情や、トラウマは容易に深層心理に封じられ、これらは知らず知らずのうちに僕たちの心や行動にもっとも影響を与えています。
ジレンマとは二律背反した感情
たとえば父と母、兄と妹の4人家族で、典型的な男尊女卑の家庭があったとします。
父は亭主関白で母はなんでも父の言う通りに行動し、いつも兄は優遇され、褒められ、好き勝手なことをしても怒られることもなく、反対に妹は女なんだからと冷遇され、怒られるのはきまって妹のほう。
こんな家庭で育てられたら妹は父のことが嫌いになることは容易に想像がつくかと思います。
しかし、妹は父が嫌いというのは表の感情であり、これは嫌いになるということに対する裏の感情があるから嫌いという感情が表面に出てきているということです。
どういうことかと言うと、嫌いの裏には兄のように「褒めてほしい」「かまってほしい」「愛してほしい」という感情があり、それらが満たされないからこそ、その裏返しとして「嫌い」という感情が表面に出ているということです。
単純に裏の感情がそのまま深層心理を表しているというわけではないかもしれませんが、ジレンマを考察することは深層心理を探る上での重要なヒントとなります。
深層心理に内包されるトラウマ
トラウマという言葉は日常的にも割とよく使われると思います。
トラウマとは大きな精神的ショックや恐怖が原因で起きる心の傷であり、精神的外傷、心的外傷と言われるものです。
トラウマは表層意識で自覚できるものだけでなく、人間心理の中では容易に深層心理に封じられます。
トラウマのようなつらい経験は、誰でももう二度と経験したくないと考えると思いますが、深層心理に封じられたトラウマは周波数の法則によってトラウマと似た体験を引き寄せます。
すると人はより拒絶したいものを無自覚的に現在の行動に投影し、同じパターンを繰り返してしまいます。
これは一つの転写行為であり、さまざまな場面で垣間見ることができます。
深層心理に封じられたトラウマによって体現される転写行為は、幼少期の満たされなかった承認欲求が深く関係しています。
承認欲求も表層心理と深層心理のように、自分で自覚している場合と気づいていない場合があります。
承認欲求も自分で自覚していないほうが根深く、すべての行動は根源的承認欲求によって起こっていると言っても過言ではありません。
深層心理に封じられたトラウマはけっして消すことはできず、抱えている問題を解決するためには真の意味でトラウマと向き合い、乗り越えることが必要不可欠です。
解消されずに深層心理に封じられたトラウマは、「なんで自分だけこんな目に合わなくてはならないのか」、「こんな辛い経験をしてきた自分はなんてかわいそうなんだ」、「自分の辛さ、大変さをわかってほしい」、「自分は被害者であり悪いのはみんなまわりのせい」、「被害者である自分は助けてもらって当然」といった被害者意識を生み出す根源となります。
そして、被害者意識は他者への依存を生み、「慰めてほしい」、「癒してほしい」、「共感してほしい」という承認欲求の根源となり、自らで問題を解決することを強力に阻害します。
問題の原因はすべて自分の内側にある
問題を真の意味で解消するためには、被害者意識や依存心を捨て、「問題の原因はすべて自分の内側にある」ことを自覚し、自分の内面を直視して、これまでの自分の生き方、考え方をあらためて問い直すことが必要不可欠です。
ジレンマを自覚し、トラウマと向き合うことは深層心理を知るためのヒントとなり、抱えている問題を解決するための第一歩となります。
山梨県甲府市の整骨・整体 くぼた整骨院
参考文献 ・「心の絶対法則」 内海聡 著 2020年
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